ひねくれ者のくだらない話

特に深い意味はない。

新約生活書

好きなお花をたくさん挙げられるようになった。大人になったなと思う。 不眠症を治したくて薬を始めた。寝る前にたった一錠飲むだけで効果てきめんだ。もっと早く始めていれば…でも、その悔しさの刀を過去へ突きつける元気もなくすんなり鞘にしまうことがで…

二十歳の盲点

深夜二時二十分。天井の木目と見つめ合う。夜目が利きだすと共に徐々に脳が覚醒していくこの時間が意外と好きだ。 惣菜屋で注文した唐揚げが出来上がるのを待っていた。空調のよく効いた店内に油が小気味よくカラカラと沸き立つ。他に客がいないこともあって…

魔法のスタバ

「君たちはどう生きるか」 答えは決まっている。 食に生きるのだ。 最近母がダイエットにまた凝り始めた。米麹と玉ねぎをミキサーでドロドロにして塩を加え、炊飯器で発酵させたものが減量と体に良いのだと思想強め(?)のYouTuberからレシピを得たようだ。きっ…

頬を刺す夜のパチ屋裏通り

しなびたマックのポテトを犬みたく大きなバッグに忍ばせ、まだ灯りのついているゴルフ場や家々をフラフラと頼りにしながらちっぽけなiPhoneライトに先を示される。塩の粒を指先で転がして脂っぽくぐちゃっとなった中心を折り込むように頬張る瞬間、全てが完…

ひとりごつ2

ハイビームって喧嘩売ってんのか? 人が気持ちよく夜風に吹かれながらリズムに乗って歩いている時に坂の向こう側から突如としてぬっと現れるデカブツにガッと照らされ目を細めるあの瞬間、脱獄犯の気持ちがよくわかる。プリズンブレイクのマイケルに深く深く…

ひとりごつ

特に何か食べたいものもなく食券機の前で指を上下左右に往復させた。カツ丼にもハンバーグにも魚にも野菜にも低糖質にも何もそそられるものが無い。全く全て色のないように思える。 トイレが汚いだとか水がまずいだとか、今にもエプロンを脱ぎ捨て辞めていき…

肛門科デビュー

おしりが切れると、どこか遠くからふつふつと湧いてくる感情がある。そうしてどうしようもなく閉まっておきたい記憶、忘れたい記憶が徐々に鮮明に思い出され、まるでインスタントカメラのシャッターを切る時のような小さな衝撃が頭の中で弾ける。 私は3ヶ月…

自分語り⑶

本当に些細なことで私は私を見放す。 守らなければいけない自分の心も体もほんの少しの幼い絶望に苛まれ見放した。 幼稚園のピアノ発表会で、同じクラスの可愛い女の子が曲の途中で突然弾けなくなり、泣いてしまった。すぐに先生やその子の母親が駆けつけて…

許せないこと

許せないことは許したいことでもある。 今1番許せないことは生理痛だ。許せたらどんなに良いか。女にしかないこの身体の仕組みが憎い。かといって男になりたい訳では無い。血が出ること、全身痛むこと、ほんの少しだけでも軽くなったら許せるかもしれない。…

いーとーまきまき

たかが下糸の巻き方をあと何回検索すれば覚えられるんだ。 お菓子やパンのレシピはすぐ覚えるというのに。腹の足しにならないものは、すぐこうやって蔑ろにする。 何年も家で眠っていた生地や裁縫道具を漁っていると鼻炎が酷くなってしまい、顔面が強制労働…

水戸黄門にはなれない

しゅごキャラはついていない。 大統領にもなれない。 もうすぐ20歳になるというのに。ショックだ。 たまたまつま先にぶつかった小石がカラカラと転がって狭い側溝の口にポトンと落ちた時、なんだか申し訳ない気持ちになる。でもちょっとラッキー。 どん底だ…

自分語り⑵

保健室の消毒液の匂いより保健室の先生のお化粧の匂いとハンドクリームの匂いの方が好きだった。 どうしても体育が嫌で行きたくなかった。この病気を持っていると大抵どの授業も苦痛だが、ゴリラのような見た目の学校一怖い先生が話している時間は枯葉が転が…

創作⑵

肛門の酸っぱいにおい。 「うっ」と思わず顔をしかめた。男はうつ伏せで寝そべっているので、そのトドのような背中に私の最大級の恨み顔と音の鳴らない舌打ちを見舞った。 「さっきしっかり洗ったのになあ。」 気持ち悪い。 仕事が終わり次の客の準備をする。浴…

焼肉や

彼氏と付き合って1ヶ月も経たないくらいのとある冬の日、叙々苑へ連れて行ってもらった。 まさかあの叙々苑へ行くなんて知らされていなかったので、手持ちの服の中で1番高いが半額セールかつウン年前に買ったこの勝負服が急に恥ずかしくなり少々縮こまった。…

創作⑴

「40分の人、大丈夫でした?」 「まあ、はい。」 全く大丈夫じゃなかったがもう思い出したくもないので愚痴るのは辞めておいた。どうせNGを出したのだから二度と会うことも無いし。ショートコースのフリー客なんてまともに相手するだけこっちが痛い目に遭う。そ…

にん じん

私は一日に最低一食は自炊をする。お嫁に行けないくらいの頻度とクオリティで。 特にそうしようと意識している訳ではないが幸薄生まれ薄味育ち、外食やコンビニ弁当がしょっぱくてしょっぱくてしょうがないので面倒だがキッチンに立つ。 料理をするためには…

感情にサランラップ

深夜1:23に偶然時計を見た時は少しラッキーな気持ちになる。 仕事に慣れたのではなく、仕事をして疲れることに慣れたのだと思う。なんだか最近辛いことにも慣れてしまった。 夜が明けることに絶望して泣くことも、自分が死ぬことを勝手にあれこれ妄想して泣…

シャンプー&リンス

「オールインワン」 なぜこんなに不快なのか。ちゃんと仕事してんのか。 わからない。 田舎のレジ打ちのパートのおばちゃんくらい気楽さが欲しい。 あのたった数分間で勝手に気楽だと決めつけるのは浅はかかもしれないが、顔見知りらしいおばちゃんとくっちゃ…

突撃‼️LINEスタンプ宣伝‼️

[君に伝えたいことがあるんだ。] https://line.me/S/sticker/16947309/?lang=ja&utm_source=gnsh_stickerDetail 恐ろしいほど使い道が無いということで話題です。 買ってくれたら踊っちゃう。 他にも色々と描いてるので第2弾にもご期待ください❣️

あめんぼあかいな

私は滑舌が悪い。喋り方がアホっぽければアホっぽいほどモテると思っていたから。 「声が可愛い」と言われることが多いけれど、いざ録音して聴く自分の声はとてもネチョネチョしていて未完成の海苔みたいだった。 モヤモヤした話し方が気持ち悪い。 小学生の…

The End

地球、爆発すればいい。破片に乗って私は宇宙旅行するから。 快晴の下、凸凹とした道をクロスバイクの細タイヤでその速さと軽さをさらけ出し、木の影を転がる。 散歩している人々が枯葉を踏む音、キラキラ光る水面、眩しい太陽が私を通過する。この瞬間、も…

相関図の隅の隅

濃い人生とは何なのだろう。心が寒い。ふと私は旅をしなければと思った。 扇風機のくすぐるような弱風で横髪が頬をチクチクと弄る。ゆっくりとふくらはぎの肉を冷やしながら、ひたすらに寒い所へ行きたいと思った。 私は心が死んでくると悪夢を見る。大抵見…

付けたら寒い。消したら暑い。

時刻は16時半。埃を絡めた扇風機の「中」の風に分厚いダークブルーの遮光カーテンが揺らされる。窓ガラスから僅かに漏れた太陽の陽は一定のリズムでショートパンツから伸びた太ももを青白くチラチラと煩わしく照らす。買ったばかりの少し硬いマットレスの上で…

闇うがい

深夜2時半のトイレ 冷凍庫の閉め忘れ たくあんと舌を食い間違えたとき 寝返りで意図せずお隣に壁ドンしてしまったとき 鼻うがいと同じくらいこわい。 自己肯定感が爆上がりした日は眠れない。私は今完璧にテンションがハイになっている。これが筋トレパワー…

雪を見よう

茶を沸かす温かい音、湿った床、ファンデーションの匂い、ユリの花のむせるような匂い、父親の香水の匂い、母のハンドクリームの匂い、妹のヨダレ痕、訳の分からない爺と婆の写真に向かって膝をつき頭を下げた時のマットのカビ臭さ、フラッシュバック鬱。 雪…

自分語り

「話は以上です。」 手の甲は黒ずんで爪は黄ばみ、浮腫んだ指に似合わない無愛想な輝きを放つ愛の無機物を、男はひらひらとかざして事務室へ去った。 やがて社員や同じアルバイトの人々がそれぞれの仕事場へぞろぞろと向かうのに、私も鼻をズッと啜りながら着…

ラクトアイスだったときの絶望感を許す会

どうやら普通の人間は一日にアイスクリームを3個も食べないらしい。 収入が2倍以上になるとどうも金銭感覚がおかしい。ついでに食欲もおかしくなるらしい。 買い物依存の気が元々あったので貯金なんか出来る筈もない。 毎週日曜はYahooショッピングでPayPay…

死にたいのに飯食っとる

明けましたおめでたくはない。 2020年は何だかスッカラカンだった。 暇な時間が多いと目まぐるしく生きるとか死ぬとか考えてしまってかといって週5で働くのも難しいしちくしょうはやくカビとサビの違いがわからなかった頃くらいに戻りたい。 人生の楽しさだ…

クソ

カビだらけの黄ばんだエアコンが、おしっこのような刺激臭を淡々と排泄している。生ぬるい風が破けた障子を細やかに揺らすのを横目にするが、この腐った空気で肺を満たすのは流石に躊躇うので、ため息も出せない。 私は四畳半の隅っこ一畳に、枕とは反対側へ…

夏発ち

夏は憂鬱だ。 気を保てない暑さ、セミの愛の発狂、腹のはち切れそうな憎たらしい蚊、毛の処理、脛の乾燥、保湿、鼻炎、エアコン風邪と頭痛、ゲリラ豪雨、運動会、日焼け止め、戦争、はしゃぐ子供とヤンキー、よく見たら気持ち悪い蛍、朝の清々しさ、制服、ク…