ひねくれ者のくだらない話

特に深い意味はない。

あめんぼあかいな

 私は滑舌が悪い。喋り方がアホっぽければアホっぽいほどモテると思っていたから。

 

 「声が可愛い」と言われることが多いけれど、いざ録音して聴く自分の声はとてもネチョネチョしていて未完成の海苔みたいだった。

 モヤモヤした話し方が気持ち悪い。

 

 小学生の頃、国語の授業で音読する時間が好きだった。

 空調の効いていないシンとした狭い教室の中、冷たい木の床を上履きで撫でて「ふたりは ともだち」を読み上げるあの時間に私の承認欲求を集中させた。

 噛まないか心配になってきてこの緊張を誰にも感じさせまいと精一杯背伸びした声色が黒板から私の心臓に跳ね返ってくる。クラスの気になる男子を気にしつつ先生の顔色を伺いつつ、私をいじめているあの子よりも優れた音読をかましたい一心。

 

 私は承認欲求の化け物だ。親は帰りが遅く、部活もうまくいかず、洗濯物を干したり畳んだりしても誰も褒めてくれないし、せっかくできた友達には束縛して嫌われ、口を開けば不幸マウントが止まらない。

 

 「私は親に愛されていないんじゃないか」と親に買ってもらったハンカチで涙を拭うほど寂しがり屋だったのに、今では1人で映画を観て美術館に行って定食を食べて締めにカフェでブレンドコーヒーを啜るのだから案外やっていけそうだと思う。

 思春期の頃より秋冬の寒気にも寂しさを感じない。寧ろこの時期特有のノスタルジーが大好きだ。ノスタルジー中毒者だ。

 

 それなのに寂しさでたまに過食する。私は孤独の呪いにかかった孤独病で、埋められないものを物理的に埋めて、苦しさに胃もたれをしても一人。

 「孤独」なんて言葉を作った奴、お腹壊せ!

 

 ムカつく奴には心の中で

「下痢とかで苦しめ」

などとひたすら念じる。

 

絶妙に不味そう、よだれ鶏

こういうものから偏見をなくしていきたい、JAPAN