ひねくれ者のくだらない話

特に深い意味はない。

2022-01-01から1年間の記事一覧

頬を刺す夜のパチ屋裏通り

しなびたマックのポテトを犬みたく大きなバッグに忍ばせ、まだ灯りのついているゴルフ場や家々をフラフラと頼りにしながらちっぽけなiPhoneライトに先を示される。塩の粒を指先で転がして脂っぽくぐちゃっとなった中心を折り込むように頬張る瞬間、全てが完…

ひとりごつ2

ハイビームって喧嘩売ってんのか? 人が気持ちよく夜風に吹かれながらリズムに乗って歩いている時に坂の向こう側から突如としてぬっと現れるデカブツにガッと照らされ目を細めるあの瞬間、脱獄犯の気持ちがよくわかる。プリズンブレイクのマイケルに深く深く…

ひとりごつ

特に何か食べたいものもなく食券機の前で指を上下左右に往復させた。カツ丼にもハンバーグにも魚にも野菜にも低糖質にも何もそそられるものが無い。全く全て色のないように思える。 トイレが汚いだとか水がまずいだとか、今にもエプロンを脱ぎ捨て辞めていき…

肛門科デビュー

おしりが切れると、どこか遠くからふつふつと湧いてくる感情がある。そうしてどうしようもなく閉まっておきたい記憶、忘れたい記憶が徐々に鮮明に思い出され、まるでインスタントカメラのシャッターを切る時のような小さな衝撃が頭の中で弾ける。 私は3ヶ月…

自分語り⑶

本当に些細なことで私は私を見放す。 守らなければいけない自分の心も体もほんの少しの幼い絶望に苛まれ見放した。 幼稚園のピアノ発表会で、同じクラスの可愛い女の子が曲の途中で突然弾けなくなり、泣いてしまった。すぐに先生やその子の母親が駆けつけて…

許せないこと

許せないことは許したいことでもある。 今1番許せないことは生理痛だ。許せたらどんなに良いか。女にしかないこの身体の仕組みが憎い。かといって男になりたい訳では無い。血が出ること、全身痛むこと、ほんの少しだけでも軽くなったら許せるかもしれない。…

いーとーまきまき

たかが下糸の巻き方をあと何回検索すれば覚えられるんだ。 お菓子やパンのレシピはすぐ覚えるというのに。腹の足しにならないものは、すぐこうやって蔑ろにする。 何年も家で眠っていた生地や裁縫道具を漁っていると鼻炎が酷くなってしまい、顔面が強制労働…

水戸黄門にはなれない

しゅごキャラはついていない。 大統領にもなれない。 もうすぐ20歳になるというのに。ショックだ。 たまたまつま先にぶつかった小石がカラカラと転がって狭い側溝の口にポトンと落ちた時、なんだか申し訳ない気持ちになる。でもちょっとラッキー。 どん底だ…

自分語り⑵

保健室の消毒液の匂いより保健室の先生のお化粧の匂いとハンドクリームの匂いの方が好きだった。 どうしても体育が嫌で行きたくなかった。この病気を持っていると大抵どの授業も苦痛だが、ゴリラのような見た目の学校一怖い先生が話している時間は枯葉が転が…

創作⑵

肛門の酸っぱいにおい。 「うっ」と思わず顔をしかめた。男はうつ伏せで寝そべっているので、そのトドのような背中に私の最大級の恨み顔と音の鳴らない舌打ちを見舞った。 「さっきしっかり洗ったのになあ。」 気持ち悪い。 仕事が終わり次の客の準備をする。浴…

焼肉や

彼氏と付き合って1ヶ月も経たないくらいのとある冬の日、叙々苑へ連れて行ってもらった。 まさかあの叙々苑へ行くなんて知らされていなかったので、手持ちの服の中で1番高いが半額セールかつウン年前に買ったこの勝負服が急に恥ずかしくなり少々縮こまった。…