ひねくれ者のくだらない話

特に深い意味はない。

頬を刺す夜のパチ屋裏通り

 しなびたマックのポテトを犬みたく大きなバッグに忍ばせ、まだ灯りのついているゴルフ場や家々をフラフラと頼りにしながらちっぽけなiPhoneライトに先を示される。塩の粒を指先で転がして脂っぽくぐちゃっとなった中心を折り込むように頬張る瞬間、全てが完璧すぎて、ついでに星もちゃっかり見上げておく22時。バイト辞めたい。

 

 家から近くて時給が良いのでパチンコ屋のバイトに応募したものの、うるさいところが苦手で、パチンコに行くような人間とは無縁で、タバコも嫌いで、一体私は何を考えているのだろうか。妹を誘って偵察に行こうとしたが、店に近づけば近づくほど嫌になってきてやっぱりやめた。そのまま近くのスーパーでアイスとお菓子を買いこみ、床暖房と電気毛布の狭間で2人仲良くぬくぬくと食べ、気絶するように眠った。1時間ほどして目が覚め、面接を辞退します、とメールを送った。

 

 昨日から頭が痛い。そして切れ痔が3日間続いている。私のお尻は一体どうなってしまうんだろうか。だからといって辛いものは辞められない。このあほ寒い中、キムチチゲを食べないという選択はあまりにも酷であり、日々のストレスを発散させるための蒙古タンメン中本も欠かせないのである。辛ラーメンもノグリもプルダックポックンミョンも全て私の味方であり、一軍であり、例えお尻を失ったとしても彼らを完全に断つ生活など到底考えられない。そして今1番食べたいのは激辛の麻婆豆腐だ。

 

 トイレで苦痛に悶えながら私の頭の中では「尻穴応援隊」が甲子園の砂の上で旗と真っ白のハチマキをなびかせ、腕をやいのやいのと振り上げ汗と唾を撒き散らしエールを送る。20歳にもなってこういう妄想が辞められない。突然バスジャックされ、自分があっという間に倒すなんていう妄想も未だにしてしまう。こんなんでもまともに食って寝てバイトに行くことができる世の中捨てたもんじゃない。

 

 庭で猫が発情だか喘いでるんだかとにかく騒いでいる鳴き声が聞こえてきた。猫になりたい。猫は仕事もないし学歴もないしオシャレもないしどんな奴でも可愛い。早く猫になりたい。