ひねくれ者のくだらない話

特に深い意味はない。

付けたら寒い。消したら暑い。

 時刻は16時半。埃を絡めた扇風機の「中」の風に分厚いダークブルーの遮光カーテンが揺らされる。窓ガラスから僅かに漏れた太陽の陽は一定のリズムでショートパンツから伸びた太ももを青白くチラチラと煩わしく照らす。買ったばかりの少し硬いマットレスの上で眠りすぎて怠くなった体をゆっくりと右に返した。

 ふっと一息つくと、もわもわと覆われた肌を空気から感じた。喉が渇いた。キッチンまで大股10歩だというのに何故こんなにも面倒なのだろうか。

 

 首元が痒い。この服の素材が好みではない。暑い。日焼け。嗚呼痒い。

 そんなこんなで野口英世2人とナミダの海を超え、巷で有名なアネッサの日焼け止めを人生で初めて買った。

 なんだこの伸びの悪さは…

 普段使っているのは「ウォーターベース」といかにも涼しげに爽やかに謳う商品で、それがいかに薄まっているのかを理解した。それはそれで塗り直しが容易で好みなのだけれど。安くて大容量はいつだって味方だ。

しかし流石のアネッサ様。中学野球部員の腕と化した私の肉付きの良い両腕にやれやれと終止符を打ってくれたようだ。ありがとうございます。

 

 それにしても梅雨より梅雨な天候が続きそうだ。ついつい日焼け止めをサボってしまう。

 気温が下がったので久しぶりに氷枕無しの夜を過ごした。

 氷枕もメーカーによって様々である。私のおすすめはアイスノンソフト。程よい冷え心地、持続力満点。一家に3個は置くべき…

 私は何故か代々自室にエアコンが無いためアイスノン・扇風機・半裸で灼熱の晩と闘っている。

 それでも洗濯槽臭いタオルに巻かれた冷凍庫臭いアイスノンを悶々と感じ、熱風を送り続ける扇風機に殺意を向けるくらい暑い夜がある。こんな時は廊下に頭を向け気持ち冷えたヨガマットの上で大の字になる、令和。

 

 部屋にアリが湧いた。

 懸命にコロコロで1匹1匹延ばしたそれが頭から離れず、目を瞑ると蟻たちに恨まれて身体中這われているような感覚が襲ってくる。ああ気持ち悪いと鳥肌をたてて、ひたすらに「コロコロ…」という音だけを熱帯夜に響かせていた。