ひねくれ者のくだらない話

特に深い意味はない。

ドリカム・アゲイン

 自分には三つ編みおさげが似合っており、それがとんでもなく可愛いのだと信じてやまず、毎朝駄々をこねて母に髪を結ばせていた頃、ケーキ屋さんを志した。

 

 「しょうらいのゆめ」

 確か、卒園文集か何かでの項目だったと思う。

 将来のことを強いて言うならば、目を瞑ってピアノ弾けるようになりたいだの今日の夕飯は唐揚げがいいだの、それっぽっちしか思い浮かばない私にとって、この議題に答えるのは困難であった。

 

 結局書くことができず先生から再提出を突き出された。

 どうしようかと悩んでいた矢先、クラス1番のモテ子がケーキ屋さんと書いているのを偶然見てしまった。これは…丸パクリ一択しかない…

 あの時の何故だか自分もモテ子のようになるのでは、ケーキでも何でも作れてしまうのではないかという高揚感は清々しい程に幼い。

 

 母に文集を見せると、ケーキ屋って本当に?と半笑いで突っ込まれてしまい、私は鼻息を荒くして本気だよ!などと意地を張りつつも、その頃にはケーキ屋に対する情熱はかなり薄れていた。モテなかったし。

 それを見通した上でも母はケーキだけでなく、包丁の持ち方から洗い物の仕方まで全て教えてくれた。              急かし屋の母の口調は厳しいが丁寧で分かりやすかった。あの時の背に合わないキッチンが懐かしい。

 

 

 ワサビを抜いて寿司を食べていた頃、私はお花屋さんになりたかった。

 母は草むしりも三十分がいい所の私の飽き性を知っていたのに、古本屋で園芸本を買い与えてくれた。

 

 しばらくは毎日のように本をめくっていた。しかし漢字もろくに読めず、本の内容が全く理解できなかったので段々綺麗な写真を楽しむだけの本になっていた。

 かと思うと、特段華やかで鮮やかなページを見つける度、この種が欲しいと母にねだった。

 

 春先の心地良い季節。ホームセンターで集めた黄・赤・緑、色とりどりのスコップとジョウロを持ち、母と私、二人で思い思いの園を庭の一画に小さく描く。

 

 雲一つない空の下で水やりをする。

 花弁から垂れ落ちる雫と水をたっぷり含み茶黒く変わりゆく土、照りつける陽射しに当てられ額からとめどなく伝ってくる自分の汗が目に染み、輪郭がぼやけてもそこは揺るぎない美しさがあった。花壇ではよく蝶が舞っていた。

 

 やがて私は自転車を乗り回しカラオケへ通い、バレンタインだのハロウィンだのに真剣にうつつを抜かす年頃になると、本は埃をかぶり、スコップはどこかへ失くし、ジョウロは土埃にまみれ、蝶は庭の外れで死んでいた。

 かつて命を吹き込んだそこへは、もはや鬱陶しい程に生え狂う雑草しか見られなくなった。

 母はこうなることまで見越していたのだと思うけれど私の夢を叶えてくれた。

 

 拳で兄妹喧嘩、泣き泣かせ阿鼻叫喚していた頃、海外に憧れた。部活でいじめられていて逃げたかったのもあったが、外国に物凄く興味があった。唐突に両親へ伝えたらすんなり承諾された。

 

 出発日まで暇だなあと私がひたすら欠伸をしていた裏では、学校や住居等の手続きに慌ただしく走り、決して安いとはいえないお金が準備されていたのだろう。

 そんな苦労などつゆ知らず、住めば都!なんとかなる!といった誰譲りでもない性格で得意の虚勢を胸に外国へ飛び立った。

 もう5年前の話だ。ぼちぼち思い出して自習はせれども語学力的にはなんとも言えない。何をするにも私はゆるくやり過ごし、その成果も当然微妙なのである。

 

 母は転職して拘束時間は短くなったものの毎日疲弊した様子で帰ってくるようになった。

 以前のように夢に付き合って貰うことが難しくなったので、これからは自分一人の力で何か実現しなければと考えた。

 ケーキ屋も、花屋も留学も叶えてしまった今、どんな夢を持てるのだろう。新しいことには心を踊らされるが、おさらいも重要だと思う。

 要は初心に戻りまずは擬似ケーキ屋を開くということ。もういいやちょっと何言ってるか分からんくなってきた。

 

【ミックスベリー

            レアチーズケーキ】

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材料

  • クリームチーズ   200g
  • 砂糖                    60g
  • レモン汁             大1.5
  • ヨーグルト         150g
  • 生クリーム         150ml
  • ゼラチン             10g
  • 水(ゼラチン用)    30ml
  • 生クリーム(ゼラチン溶かす用) 50ml

クッキー(もどき)生地

ミックスベリーピュレー

  • ミックスベリー   300g
  • 砂糖                     20g
  • ゼラチン              3g

 

作りかた

  1. 生地をジップロックに入れて砕く。バター揉みこんで型に入れ冷蔵庫へ。
  2. ゼラチンを水でふやかす。
  3. ボウルにクリームチーズ、砂糖、レモン汁、ヨーグルトを分け入れその都度混ぜる。
  4. 生クリーム7分立て。
  5. 残りの生クリーム温めて2のゼラチンと溶かし合わせる。
  6. 5を3のボウルに入れて、4も加えて混ぜる。難しい。
  7. 冷蔵庫から型を取り出し、流し入れる。表面を整え冷蔵庫へ。
  8. テキトーに作ったピュレー(裏ごし念入り)をある程度冷ましたら型に流し入れ2時間以上冷やす。

 

 クリームチーズと生クリームが滑らかに溶けてベリーの酸味とよく合う。下の生地はボロカスになっちゃったけど、バターの香りと穀物の掛け合わせが絶妙で、まあ悪くはない。崩れてるのもどこか趣がある。

 

 昨日からドライイースト巡ってぐるぐるお店回ってるけど、おうちカフェブームでどこにも売ってない。パン作れない人生なんて、椎名葡萄くらい違和感ある。はやくコロナ終われ。

 

とにかく、オカン最高!